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日々平穏

二次小説とか日記を気まぐれに書いてみるつもりです。

闇の旅路 01

 そこに存在するのは、ほとんどが物言わぬ鉄屑たち。
 そんな中、周りの漆黒よりなお黒き機体が悠然と佇んでいる。




 「サレナ、周辺の状況を確認しろ」

 漆黒の機体のパイロットであるテンカワ・アキトは、感情の篭らない声でそう一言呟いた。

 『了解』

 機体のサポートAIと思われるものは、音声とウィンドウを一つ表示して答える。
 ウィンドウが開くのを感じたのであろうアキトは軽く苦笑いを見せていた。

 (五感が不自由な俺にはIFS経由でデータのみ送れば事足りるのにな)

 五感がまともに機能しなくなって久しいアキトは、健康体の人に接するかの様に対応するAIに妙な人間臭さを感じていた。
 そんな事をアキトが考えているうちに索敵がすんだのか、再びウィンドウが表示される。

 『付近に敵影なし』『どうする?』『帰艦する?』

 その返答に、少し考えるそぶりを見せた後アキトは答えた。

 「そうだな、これ以上この場所にいても無駄だな。ユーチャリスに帰艦する。ラピス、聞こえているか?」

 そう言いながらアキトは帰艦すべき白亜の戦艦ユーチャリスに通信を開くための行動をおこした。
 同じく付近の敵を殲滅し、索敵をすませたユーチャリスの中でただ一人漆黒の機体の帰りを待つラピスは通信に答える。
 アキトからの通信内容は、これから帰艦するという内容のものであった。

 「わかった、格納庫で整備用のバッタを待機させておく」

 ラピスの返事を聞くとアキトは、サレナに指示を出し始める。
 
 「サレナ、ジャンプフィールド展開。目標、ユーチャリス格納庫」
 『フィールド展開完了』『いつでもジャンプできるよ』

 それを聞いたアキトからナノマシンの淡い発光が放たれていく。
 準備が完了したのか、アキトからある言葉が放たれた。

 「ジャンプ」

 その瞬間、漆黒の機体は今までいた空間から消え去っていた。


 
 『格納庫にボソン反応増大』『サレナの帰艦確認』

 ユーチャリスのAIであるオモイカネ'からラピスへとウィンドウが開かれる。
 それを視線のみで確認した後ラピスは、ルーチンワークをこなすかのような手順で作業をこなしていく。
 作業が終盤に差し掛かったあたりで何か考えているのか、少し作業の手が止まった。
 そして、気になることがあるといった表情をしながらダッシュに質問を始めた。

 「ダッシュ、アキトはこの後どうすると思う?」
 『どうするとは?』『ラピスを、という事ですか?』『火星の後継者を、という事ですか?』
 「両方」
 『ラピスに関しては、一人残してどこかへ行くという可能性はありません』
 「うん」
 『火星の後継者に関してはマスター次第かと思います』『私には答えかねる問題かと……』
 「そう」

 返事を聞くと少しは疑問が解消できたのか、ラピスは作業を再開した。



 格納庫に到着したアキトはバッタに誘導されながら、サレナを所定の位置へと移動させていく。

 「サレナ、機体の被害状況をまとめておけ。」
 『了解』『整備はバッタで行うの?』
 「できる範囲は頼む。無理そうな個所は俺が行うか、セイヤさんに頼む。確か今は月に居たはずだからな。では、後は頼む」
 『まかせて』

 サレナの返事を聞くとアキトはハッチを開けてハンガーに固定完了した機体から降りてブリッジへと移動を開始した。
 移動しながら、アキトは今後どのように行動していくのか考え始めた。

 (さて、火星の後継者達は今回の戦闘で主だった部隊は殲滅できた。後は、遺跡をどうするかだな。
  このまま、統合軍に持たせたままだとまた同じような状況になる可能性が高いからな。かといって、ここで悩んでいても状況は変わらないか。
  物資の補給もあるし、一度月に戻ってイネスとアカツキに相談してみるか)

 考えがとりあえずまとまったところでブリッジに到着した。


 
 ブリッジへの扉が開くとアキトの目の前にのウィンドウが表示された。
 それは、帰艦を喜ぶダッシュからのものであった。

 『おかえり』『アキト』

 次いで下半身にも軽い衝撃が加わる。

 「おかえり、アキト」
 「ただいま。ラピス、ダッシュ」

 ラピスの頭をなでながらアキトは答える。
 頭をなでられているラピスは気持ち良さそうに目を細めている。
 そんな中、アキトはダッシュに指示を出し始める。

 「ダッシュ、月へ補給に戻る。連絡を頼む」
 『了解』『エリナ女史にメールを送信しました』
 「アキト、月に戻るの?」

 頭をなでるのをやめたアキトに少々不満そうな表情を浮かべながらラピスは尋ねた。

 「ああ、補給と今後の行動を考えるためにな」

 それを聞いたラピスは、不安そうに何かを訴えるような視線でアキトを見た。
 その視線と不安の感情がリンクを通して感じられたのか、アキトはラピスが何故このような反応を見せたのか理解した。
 それゆえ、膝を折りラピスに視線を合わせて言葉を紡ぎ始めた。

 「ラピス、何があろうとラピスを残してどこかへ行ったりしない。だから、そんな悲しい表情をしないでくれ」
 「ほんと?」
 「ああ、本当だ」
 「ん、わかった」

 アキトの言葉に満足したのか、微かな笑顔を見せながらラピスは再び頭をなでて欲しいと呟いた。
 それに、苦笑を見せながらも再びアキトはラピスの頭をなで始めた。
 そんなやり取りが終わりに差し掛かった頃に、再びダッシュからのウィンドウが開いた。

 『エリナ女史から返信』『小言は省きます』『ドックの準備は完了しているのでいつでもどうぞ、とのことです』
 「そうか。ダッシュ、ジャンプフィールド展開、目標ネルガル月秘密ドック」
 『フィールド展開完了』『いつでもジャンプ可能』

 アキトに指示されたことが完了したことを示すウィンドウが表示される。
 それを見たラピスはオペレーター席へと戻りアキトのためにジャンプのサポートを始める。
 ラピスのサポートを受け、イメージングを完了したところで、アキトは一言ジャンプと言葉を発した。
 そして、ユーチャリスは漆黒の空間から月へ向かって飛び立った。 

テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

  1. 2006/11/12(日) 21:25:19|
  2. 闇の旅路
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