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日々平穏

二次小説とか日記を気まぐれに書いてみるつもりです。

闇の旅路 03

 「で、テンカワ君、何を思いついたんだい?」

 無茶なことでないことを祈るよ、といった様子でアカツキは尋ねる。



 「そう大した事じゃない。ここで破壊できないならできる可能性のあるところに持っていけばいいと思っただけだ。
  それか、絶対に手出しができない場所に持っていくとかな」
 「それはどういうことだい?」

 険しい表情になりながらも最悪の予想とは違う答えが返ってくることを望みながら真意を聞こうとする。

 「遺跡を持ったまま故意にランダムジャンプし続ければ、いつかは破壊可能な技術を持つ文明にたどり着くのでは、という事だ」
 
 古代火星文明とかな、と付け加えながらアキトはアカツキに自分の考えを述べる。
 返ってきた内容は、予想していたものとは違ったが内容的にはアカツキにとって最悪に近いものだった。

 「それはまた無茶な計画だね」
 「だが、破壊できずにそのままこの世界に置いておくと、いつまた悲劇が繰り返すか解らんからな」
 「その可能性は否定できないけど、君が探索不可能な場所に隠すとかじゃ駄目なのかい?」

 何とか、妥協案を提示してアカツキはアキトの考えを改めさせようとするが、次の一言で簡単に一蹴される。

 「人が隠せる場所ならいつか誰かがたどり着く」
 「そうかもしれないけど……。以前から考えていたのかい?」
 「ああ、最悪の場合はこの方法を使うつもりでいた。運が悪ければ時空間の歪に閉じ込められるが、そうなったらそれはそれで
  誰にも手が出せない場所には打って付けだとも思ってな」
 
 自嘲気味な笑みを浮かべながら話続けるアキトを見るアカツキの表情は徐々に険しいものになっていく。
 
 「もう覚悟はできてしまっているのかい?」
 「そう思ってくれてかまわない」
 「ラピスやルリ君、艦長に関しては?」

 決意は固く、簡単には意思を覆せそうに無い。
 しかし、悪あがきと理解しつつもアキトの弱点と思しき個所をアカツキは責めてみる。

 「ラピスは連れて行く。置いていく方が危険だからな」

 以前、リンクを解除して自分から離れるように説得した時の事を思い出しながらアキトは答えた。
 その時は、リンクを解除する予定日の前日にアキトに捨てられるくらいなら死んだほうがましと、
 自害しようとしたため、ラピスをアキトから引き離すのは危険という結論に至った。
 その時から、ラピスが自分を必要としている限り傍に居続けると決心したアキトはラピスに対して父親のように接するようになった。
 アカツキもその時のことを思い出したのか、そうだねとだけ答える。

 「で、ルリ君と艦長はどうするんだい?」

 アカツキが続きを促がすと、アキトは気まずそうな表情になる。
 何とかして平静を保とうとする。
 しかし、その努力も空しく感情は御しきれず、顔にナノマシンパターンを浮かび上がらせながら話し始めた。

 「ユリカに関してはもう会うつもりは無い。あいつを無駄に苦しませる様な事を俺は望まない」
 「それはどういう事だい?」

 驚きを隠せないのか、珍しく表情を顕わにしながらアカツキは聞き返した。

 「憎しみに囚われた俺は、ユリカの理想の王子様には相応しくないという事だ」

 悲しそうに俯きながら答えるアキトにアカツキはかける言葉が思い浮かばないのか、ただ黙ってアキトの紡ぐ言葉に耳を傾ける。

 「あいつはいったい誰を見ているんだろうな」

 この最期の言葉が、どういった意味を含んでいるのかこの時のアカツキは理解できなかった。
 どのくらいの時間が過ぎただろうか。
 平常を取り戻したアキトは、ルリに関することを次いで話し出した。

 「ルリちゃんには、最期に別れだけは伝えようと思っている」
 「連れては行かないと?」
 「ああ。あの子は俺にとって大切な妹だ、この世界で幸せを掴んで欲しい」

 今のルリの周りには以前と違って大勢の仲間がいるから、アキト一人がいなくなっても問題ないと考えての発言だった。
 しかし、それは本当にルリを考えての行動なのだろうかと、疑問に思うアカツキはそれを口にした。

 「本当に幸せになって欲しいと思うなら、それこそ側にいてあげるべきじゃないのかな?」
 「俺の側にいるという事は闇に属する事を意味する。そんな状況にルリちゃんを引き込みたくはない」

 どうして、こう一方的な考えしかできないのかと頭を抱えたくなる状況にアカツキは溜め息をつく。
 反面、復讐者に堕ちてしまった今でも過去のアキトの面影を少しでも感じられた事を嬉しくも思っていた。

 「何が幸せか決めるのはルリ君自身だよ。一方的に君が決めるべきじゃない」

 どうにかして、理解させようとするがアキトは頑なに自分の主張を覆すことは無かった。
 仕方がないと、アカツキは強行手段を用いることを決意する。

 「別れは伝えると言ったよね? ならそれは直接会って伝えること」
 「なっ! 待て、それは」

 手紙かメールで伝えるつもりだったのか、慌てながら答えるアキトに追い討ちを掛ける様に、アカツキは詰めの一手を放った。

 「無理とは言わせないよ。もし断るなら今後ユーチャリスやサレナは使わせない」
 
 慌てふためくアキトを尻目にアカツキは淡々と続ける。
 
 「覚悟を決めたまえ。そうしないと今すぐにでもサレナとユーチャリスを解体するよう指示を出すよ」

 その言葉を聞き、渋々ながらも了解の意を述べるアキトに、アカツキはやれやれといった風な態度を取る。

 「まぁ、よく考えておきたまえ。しかし、この案を実行するならユーチャリスの改装と遺跡の探索を急がせないとね」

 そう言いながら何か思いついたのか、意地の悪い笑みを見せる。

 「ユーチャリスの改装に関しては考えがあるから任せて貰えるかな」

 思いついた内容の肝心な部分には触れずにアカツキは話を進める。
 アキトも、自分に不都合となるような改装はしないだろうと考えに至ったのか特に異論はないといった反応を見せる。

 「で、遺跡のほうはプロス君達に頑張ってもらうとして、それが見つかるまで君はどうするんだい?」

 おそらく今までとそう変わらない行動内容が返ってくる事が解りつつもアカツキは聞いてみる事にした。

 「残党を狩りつつ、クリムゾンを調べ上げその内容を俺の名で公表する」

 ほぼ考えていた内容通りだったことに苦笑いを見せながらも君らしい行動だと呟きながら、アカツキはこれまで通り情報の提供を行うべく、
 手配を整えにかかる。

 「じゃあ、こちらで何かわかりしだい秘匿回線かエリナ君経由で連絡する。君はこれまで通り動いてくれたまえ」

 ネルガルの利益に繋がる事をする。
 それが自身の復讐に協力してくれたアカツキに恩を返せる唯一方法と理解しているので、アキトは無言で頷く。
 話し合いが終わりアキトが会長室を出て行った後、アカツキはもう一つの考えていたことを実行に移すべく行動を起こした。
 端末に手を伸ばし、どこかに連絡を取り始める。

 「ああ、僕だけど、以前話した件を実行に移して。ただ、前と変更点があって、見つかった物はすべて実戦で使える状態にしておいてもらえるかな」

 通信相手が内容の再確認をしているのか、それに頷きながらさらに細かく指示を送っていく。
 一通り指示を出し、相手も了解したところで頼むよと言ってアカツキは通信を切った。

 「苦しんでいる彼の為に僕ができる事はこれぐらいしかないのか……」

 それは、たった一人の親友に対して大企業の会長という立場にあるはずの自分ができる事のあまりに少ない現実に悔しさを感じた言葉だった。
 

テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

  1. 2006/11/20(月) 00:01:04|
  2. 闇の旅路
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